ベタはぶくぶく不要って本当?空き瓶や保存容器で始めるベタ飼育

「熱帯魚を飼ってみたいけれど、部屋に水槽を置くスペースなんてないし……」

「酸素のポンプ(ぶくぶく)が必要だと、コンセントもいるし、あの『ブーッ』という機械音がうるさそうで嫌だな」

そんなふうに思って、美しい魚との暮らしを諦めてしまってはいませんか?

tomo
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もし、あなたが「手間をかけずに、静かに、そして自分らしいスタイルで魚を飼いたい」と思っているのなら、この記事はまさにあなたのためのものです。

実は、熱帯魚の世界には「酸素ポンプなし」で、しかも「コップや空き瓶、ユニークな容器」で飼えてしまう、魔法のような魚がいるのです。それが『ベタ』です。

想像してみてください。

あなたのデスクの片隅に、お気に入りのガラス瓶や、きれいに洗った透明な野菜ケースが置かれています。その中で、ドレスのように美しいヒレをひらひらとさせた魚が、あなたを見つめて泳いでいる姿を。

機械の音は一切しません。聞こえるのは、あなたがリラックスする静寂だけ。

「えっ、本当にそんなことができるの?」と驚かれるかもしれませんが、ベタの特別な体の仕組みを知れば、それが決して無理なことではないとわかります。

この記事では、熱帯魚飼育のプロである私が、ベタがなぜ酸素ポンプなしで生きられるのか、そして、ウォーターサーバーのボトルや100円ショップの容器などを使って、どれほど自由に、そして楽しく飼育できるのかを、小学生でもわかるように丁寧に解説します。


ベタってどんな魚?酸素がいらない秘密

みなさんは、魚といえば水の中に溶けている酸素をエラで吸って生きていると思いますよね? だから普通の水槽には、空気を送る「ぶくぶく(エアポンプ)」が必要です。

でも、ベタは違います。ベタは、なんと「空気中の酸素」を直接吸うことができるスーパーフィッシュなのです!

ベタだけの特別な力「ラビリンス器官」

ベタのエラの中には、「ラビリンス器官」という特別な部屋があります。ベタは時々、水面まで上がってきて「パクッ」と口を開けます。これが空気呼吸です。

人間が深呼吸をするのと同じように、空気を取り込んで生きていけるのです。だから、強い水流を作るポンプや、たくさんの酸素を溶かす機械が必要ありません。

【普通の魚とベタの違い】

特徴普通の魚(金魚・熱帯魚など)ベタ
呼吸の方法水の中の酸素をエラで吸う口から空気を吸う(ラビリンス器官)
必要な機械エアポンプ(ぶくぶく)が必須エアポンプは不要!
水の流れ水流がないと酸欠になる水流が苦手(止まった水が好き)
飼える場所コンセントの近く容器が置ける場所ならどこでもOK

自由すぎる!ベタのお家になる「ユニークな容器」たち

エアポンプがいらないということは、コンセントの位置を気にしなくていいということ。つまり、水が漏れない容器なら、なんでも水槽になり得るのです。

ここでは、実際にベタ飼育で楽しまれている、ユニークな容器のアイデアを紹介します。

1. ウォーターサーバーの空きボトル(DIY)

ウォーターサーバーの使い終わった透明なボトル。これを活用する愛好家もいます。

  • 特徴: 透明度が高く、水量もたっぷり入ります(12リットルなど)。
  • 楽しみ方: ボトルの上半分をカッターなどで安全に切り取れば、縦長のスタイリッシュな円柱水槽に早変わり。水量が多いので、水が汚れにくく、ベタにとっても快適な豪邸になります。
2. 野菜の仕分けケース(収納ボックス)

冷蔵庫の野菜室を整理するための透明なプラスチックケースや、100円ショップで売っている透明な収納ボックス(積み重ねコンテナなど)。

  • 特徴: 軽くて割れにくく、安くて手に入りやすい。
  • 楽しみ方: 実はこれ、プロのブリーダー(繁殖させる人)もよく使っています。四角い形は並べやすく、観察もしやすいのです。「NVボックス」という黒い箱を使うと、ベタの色が鮮やかに見えます。
3. 梅酒のビンやガラスのキャニスター

キッチンにある、おしゃれな保存容器です。

  • 特徴: ガラス製なので傷がつきにくく、インテリアとして最高に美しい。
  • 楽しみ方: ビー玉を底に敷いたり、小さな水草を浮かべたりすると、まるで雑貨屋さんに飾ってあるオブジェのようになります。

★注意点:

どんな容器でも飼えますが、「小さすぎる容器(コップ1杯分など)」はずっと飼うのには向きません。水がすぐに汚れてベタが病気になってしまいます。最低でも1リットル、できれば2〜3リットル以上入る容器を選んであげましょう。


ベタのお引越し手順(ステップ別深掘り)

それでは、お気に入りの容器を見つけたら、実際にベタを迎え入れる準備をしましょう。ここでは、一番大切な「最初の手順」を詳しく説明します。

ステップ1:お家の準備(容器を洗う)

まずは、選んだ容器をピカピカにしましょう。

  • やること: 容器を水洗いします。
  • 絶対にダメなこと:「洗剤」を使ってはいけません!
    • 食器用洗剤の成分が少しでも残っていると、魚にとっては猛毒になります。スポンジも、洗剤がついていない新しいものを使うか、手でこすり洗いをしてください。
ステップ2:お水の準備(カルキ抜き)

水道水には「塩素(カルキ)」という消毒薬が入っています。人間には無害ですが、小さな魚には毒になります。

  1. カルキ抜き: ペットショップで売っている「カルキ抜き剤」を入れて塩素を消します。もし薬がない場合は、バケツに水を汲んで、日の当たる場所に1日置いておくだけでも抜けます。
  2. 温度合わせ: ベタは温かい国の魚です。水温は25度〜28度くらいがベスト。冷たい水道水を使うときは、お湯を少し混ぜて、手で触って「ぬるいな」と感じるくらい(プールの水温くらい)に調整しましょう。
ステップ3:一番大切!「水合わせ(みずあわせ)」

買ってきたベタを、いきなりドボン!と新しい容器に入れてはいけません。水温や水質が急に変わると、ベタはショックで気絶したり、死んでしまったりします。

【水合わせのやり方】

  1. 袋ごと浮かべる(30分):買ってきた袋を開けずに、そのまま用意した容器の水に浮かべます。これで、袋の中の水と、容器の水の「温度」が同じになります。
  2. 水を混ぜる(さらに30分):袋の口を開けます。容器の水をコップで少しすくって、袋の中にゆっくり入れます。
    • 10分おきに3回くらい繰り返してください。
    • これで、ベタが新しい水の「水質」に少しずつ慣れていきます。
  3. ベタだけ移動:最後に、ネットや手を使って、ベタだけを優しく容器に移します。袋の中の水は汚れていることが多いので、なるべく容器に入れないようにしましょう。
ステップ4:毎日のお世話(水換え)

ポンプ(フィルター)を使わない飼育では、水が汚れやすくなります。

  • 頻度: 2日に1回
  • やり方: 水温を合わせて、全換水してください。0.5%濃度(大体1リットルに5gと覚えとよい)の塩水での飼育がお薦めです。
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まとめ

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

「酸素ポンプがいらない」「色々な容器で飼える」というベタの魅力、伝わりましたでしょうか?

ベタは、その美しい見た目とは裏腹に、小さな水たまりでも生き抜くことができる、生命力にあふれたたくましい魚です。だからこそ、高価な水槽セットがなくても、キッチンにある保存容器や、工夫した収納ボックスで、今日からでも飼育をスタートできるのです。

しかし、最後に専門家として一つだけお伝えしたいことがあります。

どんなに小さな容器で飼えるとしても、彼らは私たちと同じように呼吸をし、痛みを感じ、あなたのごはんを待って喜ぶ「生き物」です。

「飼える」ことと「幸せに暮らせる」ことは少し違います。

最初は小さなビンから始めても構いません。でも、もしベタが窮屈そうにしていたら、もう少し大きな容器に変えてあげてください。冬には寒くないようにヒーターを検討してあげてください。

あなたが選んだそのユニークな容器の中で、ベタが美しくヒレを広げ、「泡の巣」を作ってくれたとき(これはベタが満足しているサインです!)、あなたはこれまでにない感動と癒やしを手に入れるでしょう。

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