「今日も仕事でクタクタ……でも、ベタの水換えをしなきゃ」
「小さな容器で飼っているけど、水がすぐに汚れてしまう気がする」
「良かれと思って入れた添加剤のせいで、逆に水が濁るのはなぜ?」

あなたは今、大好きなベタの水槽の前で、こんな風にため息をついていませんか?
その気持ち、痛いほどよくわかります。私もかつてはそうでした。「ベタはコップでも飼える」なんて言葉を信じて飼い始めたものの、現実はそんなに甘くない。
小さな容器の水質管理は、大きな水槽よりもずっとシビアで難しいのです。毎日水換えをするべきか、それとも魚のストレスになるから控えるべきか……。ネットで検索すればするほど、正反対の意見が出てきて迷子になってしまいますよね。
でも、安心してください。もう迷う必要はありません。
私が実際に1.5リットルという小さな容器でベタと向き合い、試行錯誤の末にたどり着いた「無理なく続けられる、ベタが一番喜ぶルーティン」です。
高価な添加剤も、複雑な機材も必要ありません。
必要なのは、キッチンの「ある道具」と、ちょっとしたコツだけ。
一緒に「輝く水」の作り方を見ていきましょう。
はじめに:なぜ「毎日」か「数日に一回」かで悩むのか?
ベタ飼育において、水換えの頻度は永遠のテーマです。特に、おしゃれなガラス瓶や、1.5リットル前後の小さな容器で飼育している場合、水量が少ないため、汚れが蓄積するスピードは想像以上に早くなります。
一般的に言われているメリットとデメリットを整理してみましょう。
| 頻度 | メリット | デメリット |
| 毎日 | 常に新しい水で、アンモニア中毒のリスクが低い。 | ベタにとって環境変化のストレスが大きい。飼い主が疲れる。 |
| 週に1回 | 飼い主の手間が少ない。水質が安定しやすい(大型水槽の場合)。 | 小型容器では水質悪化が早く、病気になりやすい。 |
私がたどり着いた結論は、「1.5リットル容器なら、2日に1回の全換水」です。これが、水の汚れを防ぎつつ、飼い主の負担も減らせる「ちょうどいいバランス」でした。

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実録!私がたどり着いた「引き算」の飼育法
失敗から学んだ「添加剤」の落とし穴
飼育を始めたばかりの頃、私はベタを大切にするあまり、「粘膜保護剤」やベタ用と銘打った「添加剤」など、いろいろな添加剤を使っていました。
しかし、ある日気づいたのです。
「あれ? 添加剤を入れている時のほうが、水が白濁して傷むのが早くないか?」
小さな容器では、水の痛みが早く、水を汚す原因になっていたのです。そこで私は思い切って添加剤をすべてやめ、「カルキを抜いた水に、0.5%(1リットルに5グラム)の塩を入れるだけ」というシンプルな方法に切り替えました。
するとどうでしょう。水の透明度が、長く持つようになりました。塩には殺菌作用や、魚の浸透圧調整を助ける効果があります。結果として、2日に1回の水換えでも、水はピカピカの状態を保てるようになったのです。
冬の強敵「水温合わせ」を解決した秘密兵器
もう一つ、ベタ飼育で最大のハードルとなるのが「冬の水換え」です。
水道水は冷たく、ヒーターで温めている水槽の水とは10度以上の差があることも珍しくありません。指先の感覚だけで水温を合わせるのは至難の業。時間がかかりすぎて、水換え自体が億劫になっていました。
そこで私が導入したのが、「料理用のデジタル温度計」です。
これは革命的でした。
水槽用の温度計は反応が遅く、温度が確定するまで数分待つ必要があります。しかし、料理用(クッキング用)の温度計は、揚げ油の温度を一瞬で測るためのもの。水につけてわずか数秒で正確な温度を表示してくれます。
これのおかげで、お湯と水を混ぜて適温を作る作業が、まるでゲームのようにスムーズになりました。「あと少しお湯を足して……ピッ!よし、26度ジャスト!」という具合です。
「塩だけ&料理用温度計」水換え完全マニュアル
それでは、ここからは具体的な手順を、ステップバイステップで解説します。この通りにやれば、誰でも失敗なくベタの水換えができます。
準備するもの
- 新しい水を作るバケツ(またはボウル)
- カルキ抜き
- 天然塩(粗塩がおすすめ/1kg100円程度の安価なものでOKです。)
- 料理用デジタル温度計(1000円〜2000円程度で買えます)
- 魚を移動させるための小さなカップ
【ステップ1】新しい水を作る(塩分濃度の調整)
まずは、ベタが入る新しい水を作ります。
- バケツに水道水を入れます。
- カルキ抜きを規定量入れます。
- 塩を入れます。
- ポイント: 健康なベタの場合、濃度は「0.5%」程度で十分です。1リットルの水に対して、5グラム(指先でひとつまみ程度)です。
注意: 真水から塩水の水替えの場合は、塩を溶かし切らず、徐々に塩分濃度が上がるようにしましょう。真水から、塩を溶かし切った塩水への移動はやめましょう。
【ステップ2】「秒速」水温合わせ(最重要!)
ここが料理用温度計の出番です。
- 現在ベタがいる容器の水温を、料理用温度計で測ります。(例:26.5℃)
- 新しく作ったバケツの水温を測ります。(例:冬場なら15℃など)
- バケツにお湯を少しずつ足して、かき混ぜます。
- 料理用温度計を差し込みます。数値がパラパラと変わり、3秒〜5秒で止まります。
- 目標の「26.5℃」になるまで微調整します。
★ポイント
水槽用温度計だと温度が安定するまで時間がかかりますが、料理用なら「秒」で計測できるので水温合わせが楽です。誤差±0.5℃以内に合わせるのが理想です。これでベタへの「水温ショック」を防げます。
【ステップ3】ベタの移動と容器洗い
- ベタを小さなカップに、元の水と一緒に優しくすくい出します。網(ネット)はヒレを傷つける恐れがあるので、水ごとすくうのがベストです。
- 空になった容器を洗います。洗剤は絶対に使わず、スポンジでぬめりを取るように水洗いします。
【ステップ4】水張りとお引越し
- 洗った容器に、ステップ2で作った「適温の塩水」を注ぎます。
- ベタが入っているカップを、新しい水に静かに浮かべます。
- カップを傾けて、ベタが自分から新しい水に泳ぎ出るのを待ちます。
「ドボン」と入れるのはNG!
いくら温度が合っていても、水質(pHなど)が微妙に違うことがあります。優しく合流させてあげてください。

2日に1回のリズムを作るコツ
「2日に1回」と決めると、忘れてしまいそうですよね。私はカレンダーに印をつけるのではなく、「自分の生活リズム」とセットにしました。
- 「燃えるゴミの日」の朝に行う
- 「ジムに行く日」の帰宅後に行う
など、すでに決まっている予定と紐付けると、無理なく習慣化できます。また、2日に1回なので、もし忙しくて1日ズレてしまっても、「3日目だからまだギリギリ大丈夫!」と心の余裕が持てるのもメリットです。
まとめ:シンプルなケアが、ベタの寿命を伸ばす
添加剤をあれこれ入れたり、神経質になりすぎたりすることは、かえって飼い主さんの負担になり、結果として水換えが億劫になってしまいます。
- 1.5L容器なら、2日に1回のリセット。
- 余計な添加剤はやめて、塩ひとつまみ。
- 料理用温度計で、水温合わせをストレスフリーに。
この3つを守るだけで、あなたのベタの水槽はいつもクリスタルのように輝き、ベタ自身も生き生きとフレアリング(ヒレを広げる行動)を見せてくれるようになるでしょう。
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。
ご紹介した方法は、私が数え切れないほどの失敗を重ねてたどり着いた「答え」です。でも、一番大切なのはテクニックではありません。それは、あなたが「ベタのために何かしてあげたい」と思う、その優しい気持ちです。
毎日水槽を覗き込み、「今日は元気かな?」と気にかける。その眼差しこそが、最強です。
もし今、水換えが「面倒な作業」になっているなら、ぜひ今回ご紹介した「料理用温度計」や「塩だけ管理」を試してみてください。作業のハードルが下がれば、余裕が生まれます。余裕が生まれれば、ベタとの時間がもっと楽しくなります。あなたのベタ飼育が、素晴らしいものになることを心から応援しています。


