「来週から実家に帰省するけど、うちのネオンテトラ、1週間も餌をあげなくて大丈夫かな…?」

長期の旅行や帰省を控えたあなた。「餌なしで何日生きられるの?」と心配で、水槽のことが頭から離れないのではないでしょうか。
かつて私も、心配のあまり出発前に餌を多めにあげた結果、水質悪化と魚の飛び出し事故で愛魚を失うという苦い経験をしました。せっかくの休暇が、深い後悔に変わった瞬間でした。
しかし、熱帯魚飼育歴30年以上の経験から、ある真実にたどり着きました。 それは、「餌不足」よりも「水の蒸発と飛び出し」こそが、留守中の熱帯魚にとって最大の敵であるということです。
実際、私も先日10日間家を空けましたが、適切な対策で魚たちは皆元気でした。
今回は、私の失敗と成功に基づき、あなたの不安を「これなら大丈夫!」という確信に変えるための、水の蒸発と飛び出しを防ぐ留守番術を解説します。
熱帯魚の留守番を成功させる3つの鉄則
長期の留守番を成功させるために、私が伝えたい鉄則は以下の3つです。
- 「絶食耐性」の正しい知識を持つ(不要な不安を捨てる)
- 帰省前の「NG行動」を避ける(水質の悪化を防ぐ)
- 「蒸発」と「事故」を防ぐ
順番に解説します。
1. 熱帯魚の「絶食耐性」の真実
私たち人間は1日3食食べないと辛いですが、熱帯魚は違います。彼らは体温維持にエネルギーを使わないため、私たちが想像する以上に「燃費が良い」生き物です。
多くの小型熱帯魚(ネオンテトラ、グッピーなど)は、健康な成魚であれば、1週間から10日間程度、餌なしでも全く問題ありません。
| 魚種例 | 餌なしで生きられる目安 | 特徴 |
| ネオンテトラ | 7〜10日間 | 代謝が低く、絶食に非常に強い。 |
| グッピー | 5〜7日間 | 比較的大丈夫だが、稚魚は注意が必要。 |
| コリドラス | 7〜10日間 | 底床の微生物などを食べるのが上手。 |
| ベタ | 10〜14日間 | 非常に強健。コップ飼育でない限り余裕がある。 |
💡 経験者からのアドバイス:
「お腹が空いてかわいそう」と思う優しさは素敵ですが、1週間の旅行なら餌の心配は無用です。むしろ、心配すべきは「水」です。
2. 帰省前に「絶対にやってはいけないNG行動」
私がかつて失敗した原因がこれです。「今のうちに食い溜めさせておこう」という親心が、最悪の結果を招きます。
❌ NG行動:帰省直前に大量の餌を与える
なぜNGなのか?
- 食べ残しが水を腐らせる: 魚が食べきれなかった餌は、あなたがいない間に腐敗し、猛毒のアンモニアを出します。換気ができない密室で毒ガスが発生するようなものです。
- 消化不良のリスク: 食べ過ぎで、魚がお腹を壊しても、誰も助けられません。
✅ 正しい対処法:
出発の前日からは「餌切り(断食)」をしてください。お腹の中を空っぽにしておくことで、留守中のフンを減らし、水を汚さないようにし、できれば水替えをしてから出発するのが理想です。
3. 命を守る「水の守り方」:ラップを使った最強の防御策
10日間の留守でも魚が無事だった最大の理由は、「水槽にラップをする」というひと手間にありました。
なぜ、わざわざラップをする必要があるのでしょうか?理由は2つあります。

理由①:水の蒸発を防ぎ、ヒーターの事故を防ぐ
冬場の乾燥した部屋では、たった数日で驚くほど水槽の水が蒸発します。水位が下がると…
- ヒーターが空焚きになる: 水から露出したヒーターが過熱し、火災の原因になったり、安全装置が働いて水温が急低下したりします。
- 水質が悪化する: 水分だけが蒸発し、水中の汚れが濃縮されてしまいます。
理由②:魚の「飛び跳ね事故」を物理的に防ぐ(超重要)
これが見落とされがちですが、非常に重要です。留守中は部屋が静まり返りますが、突然の大きな音や、地震の揺れで魚がパニックになり、水面からジャンプすることがあります。
人がいれば、すぐに水槽に戻してあげられますが、留守中は誰もいません。「帰ってきたら、床の上で愛魚が干からびていた」という悲劇を確実に防ぐには、物理的なフタが不可欠なのです。
【実践編】出発前の準備ステップ
では、具体的にどうすればいいのか。出発当日に慌てないよう、ステップ形式で紹介します。
🌟 ステップ1:最終水替えとお掃除
出発の1~2日前に、全体の1/3程度の水替えを行います。フィルター掃除はバクテリアが減るので控えめに。
🌟 ステップ2:機器の最終チェック
ヒーターは水に浸かっていますか?照明のタイマーはOFFにしましたか?(留守中は照明を消したほうが、魚が寝て過ごせるので代謝が落ち、お腹も減りにくくなります)
🌟 ステップ3:【最重要】ラップで「水の鉄壁防御」をする
ここがポイントです!
- 水位を満たす: 蒸発するので、いつも通り水を足します。
- ラップで密閉する: 水槽の上部を食品用ラップで覆います。隙間がないようにピーンと張りましょう。これで蒸発と飛び出しを完全に防げます。
- 空気穴を空ける: 酸欠のリスクを減らすため。爪楊枝や竹串で、ラップにプスプスと10箇所以上、小さな穴を開けてください。これなら空気は通りますが、魚は飛び出せません。
まとめ:準備さえすれば、笑顔で再会できる
「餌やり」よりも「水の管理」。そして「飛び出し防止」。
この視点を持つだけで、あなたは安心して、帰省や旅行を楽しめます。
ラップに小さな穴を開けたら、あとは魚たちの生命力を信じて出発してください。
楽しいご旅行を!そして、帰宅後の「ただいま」の瞬間が、最高の再会になりますように。

